関節炎 



関節炎



関節が痛み、腫れ、熱をもつ

骨と骨の連結部分のうち、互いに動かせるようなかたちでつながっているところを関節といいます。
関節炎は何らかの原因で関節に炎症が起こり、痛みを感じたり、腫れて熱をもったりする病気です。
 連結のしかたによって、関節はいろいろな種類があり、それぞれ動き方が違います。
たとえば、背骨は水平方向にずらすように動かせる”平面関節”です。
指の関節は一定方向に動く”ちょうつがい関節”で肩関節のようにいろいろな方向に動くのは”球関節”です。
 関節は関節包(関節のう)とよばれる丈夫な袋状の膜で包まれています。連結部分の骨と骨は
わずかに離れていますが、関節包の内側にある滑膜や筋肉、靭帯などで、しっかりと結びつけられているので、
バラバラになることはありません。
 それぞれの骨の先端部分は関節軟骨に覆われ保護されています。
また、関節包の内部は滑液で満たされていて、これが潤滑油の役を果たしています。



原因と種類

細菌感染、免疫異常、変形など

化膿性関節炎


黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌など細菌によって、関節内が化膿する病気です。
からだのどこかで感染症を起こした細菌が、血流にのって関節内に流れ込むことで発病します。
近くの骨の骨随炎の菌が原因となることもあります。
また、関節の中まで達するような深い傷を受けた場合も、注意しないといけません。

結核性関節炎


肺結核になると、その原因となっている結核菌が、血流にのって関節に流れ込み、
結核性関節炎を引き起こすことがあります。関節が腫れて痛みますが、化膿性関節炎ほどではなく、
患部の熱感もあまりないのが特徴です。
 細菌は結核菌にかかる人が少なくなったため、結核性関節炎の患者も少なくなってきましたが、
高齢者にはときおりみられますし、糖尿病を合併している場合は治りにくいので注意が必要です。


慢性関節リウマチ

全身の関節に炎症が怒るものです。
原因については、遺伝も関係し、ウイルス感染などが契機となって起こる免疫異常という説が、有力です。
発病率は人口の約0.3%で、女性が男性の3〜4倍です。20〜40代の女性に多くみられます。

変形性関節症


膝関節や股関節などの体重を支えている関節に痛みが出ることが多く、
悪化すると動かす事ができなくなったりする病気です。
老化、肥満、激しい運動や、あるいは化膿性関節炎などほかのほかの関節疾患の後に起こる、
関節軟骨の変形が原因です。炎症性ではありませんから、厳密に言えば関節炎ではありませんが、
関節に痛みが出る点では同じです。



症状と診断

重症ならじっとしていても痛む

化膿性関節炎

炎症を起こしている関節が、激しく痛みます。痛みのために関節を自由に動かす事も出来ません。
関節は赤く腫れ、熱をもちます。全身が発熱したり、からだがだるくなることもあります。
 炎症を起こした関節では、関節内に液がにじみ出て多量にたまった状態になります。
これを関節水腫といいます。化膿性関節炎では膿が混じっています。
関節に針を刺す関節せん刺を行って関節液を採取し、化膿菌が検出されれば化膿性関節炎と
診断されます。ただし、化膿菌が検出できない場合もありますので、注意が必要です。


結核性関節炎


関節が腫れたり痛んだりしますが、化膿性関節炎よりは軽い症状で、患部に熱をもつこともありません。
股関節や膝関節に起こった場合、初期には歩くときに足を引きずります。
疲れやすくなり、筋肉が痩せて体重も減ります。
 診断は化膿性関節炎や、その他の慢性に移行する関節炎との識別が重要です。
関節せん刺で採取した関節液の中に結核菌の有無、あるいは関節鏡で採取した滑膜の
病理組織検査によって確実に診断することができます。

慢性関節リウマチ
 

朝起きたときに、手の指がこわばって動かしにくい症状がよく現れます。関節が赤く腫れて痛みますが、
午後にはやや軽快するのがふつうです。
 何ヶ月間は具合が悪く、次の何ヶ月間はよくなるという状態が長年繰り返す傾向があります。
はじめは手足の指の関節に炎症が起こることが多く、手の指は関節部分がふくらんでその両端が
細い紡錘状に腫れ、やがてその小指のほうに曲ったり、白鳥の首のような形に変形したりします。
足の指では、親指が外側に曲ったり、その他の指の変形もみられます。
病気が進むにつれて、しだいにからだのあちこちの関節にも症状が出て、変形や関節水腫が
みられるようになります。


変形性関節症


関節を動かしたり、関節に力がかかったときに痛みを感じます。長い時間、同じ姿勢をとっていた後に動かすと、
特に強く痛みますが、動いているうちにおさまってきます。ただし、重症の場合は、関節に力がかからなくても
痛みを感じるようになります。動かすと痛むため、関節を自由に動かすことができません。
又、関節水腫もみられます。X線撮影によって、関節軟骨の変性などがわかり、診断をつけることができます。
 高齢化社会を迎え、特に老化による変性への対応は重要です。
年をとればある程度関節に変性が起こることは避けられませんが、関節が変性している人のすべてに
症状が出るわけではありません。必要以上におそれるより、きちんとした食事、
程度な運動などで予防を心がけることが大切です。


病院での治療

薬物療法や温熱療法、手術など

化膿性関節炎


関節せん刺によって化膿菌が検出された場合は、関節を切断してチューブを挿入し、
洗浄液を注入して関節内を洗い、膿を排出します。さらに、関節内には抗生物質を注入します。
 関節せん刺で化膿菌が検出されなくても、化膿性関節炎と診断された場合は、副木などで
関節を固定し、点滴で静脈に抗生物質を注入します。
 治療が遅れて重症になった場合は、関節の中を大きく開いて、炎症を起こしている滑膜を
切除することもあります。
 化膿性関節炎の結果、関節軟骨が破壊されたり、骨の成長点である骨端核が壊死したりすることがあります。
この場合は炎症が治っても、変形性関節症へと移行することが多くあります。
関節機能を回復するためのリハビリが必要になります

結核性関節炎


肺結核の合併症として現れていますから、もとになっている肺結核の治療をしなければいけません。
普通はリファンピシンとイソニアジドに、エタンブトールかストレプトマイシンを併用する化学療法をおこないます。
 関節部分については、ギブスなどを使って関節を伸ばした状態で固定し、かんせつの安静を保つのが基本です

慢性関節リウマチ

慢性関節リウマチを完全に治す治療法はまだ確立されていません。ただし、治療によって
関節の痛みの症状を取り除くことは可能です。初期の段階から、病気とうまくつきあい、
症状が出ない様に、あるいは症状を緩和するように生活することを考えます。
 38℃以上の熱があり関節症状が激しい急性期は、布団やベットに横になって
安静に過ごすことが必要です。微熱があってからだがだるいときも、1日の半分くらいは
横になって過ごします。
 関節は伸びた状態で安静を保つことが大切ですが、1日に2〜3回は動かすようにします。
寝たきりの人は、家族か介護の人に手伝ってもらって関節を動かし、動ける人は自分で
関節を動かす軽い体操をしましょう。
 関節を動かすと痛みを伴いますが、動かさないと筋肉が衰えて、
動かす事が出来なくなります。関節を曲げてる方が痛まないからといって、
曲げたままにしていると関節が固まってしまう危険もあります。
 関節を温めて筋肉への血流を促し、関節のこわばりをとって痛みを和らげる温熱療法も効果的です。
全身浴や炎症を起こしている関節だけの局所浴、赤外線照射、温めたパックで関節をくるむといった
方法があります。
温熱療法の後に、編物や紙細工などの手作業をしたり、杖をついて歩いたりのリハビリをすると
より効果的です。
 関節の炎症が強くて熱が高い時や、その炎症が全身ではなく、局所に限られている時は、
温熱療法とは逆の低温療法によって、痛みを取る方法もあります。
 薬物療法では、非ステロイド性抗炎症剤がよく使われます。
内服薬のほか、胃の弱い人のために坐薬もあります。
副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)は、痛みと炎症を抑える効果がありますが、
副作用も強いため、痛みが非常に強い場合にだけ使われます。
抗リウマチ剤(免疫調整剤)もよく使われます。
関節の炎症をもたらす免疫系の過剰な活動を抑え、調整する効果があります。
 内科的療法で効果がみられない場合や、現状では関節の機能回復が望めない場合に、
整形外科で手術をする方法があります。痛みを抑えるために、関節周囲の炎症を起こしている
滑膜を取り、滑膜が再生できるようにする滑膜切除術のほか、関節を自由に動かせることを
目的とした関節機能再建術も行われています。
 関節機能再建術には、いろいろな方法があります。関節を人口関節に換えてしまう人口関節置換術は、
膝関節や股関節によく行われているものです。
ほかに、関節の骨の変形した部分を切り取って正しく結合させる骨切除術や、手首や足首などの
関節を固定する関節固定術などがあります。

変形性膝関節症


初期にはまず関節の酷使を避けることが大切です。正しい姿勢を心がけ、
足の関節の場合は杖を使う、階段の上り下りを避けるなど、日常生活のなかで注意が必要です。
 薬物療法では、数年前から関節に注入するコンドロイチン硫酸の他にヒアルロン酸製剤が使われるようになりました。
コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸製剤は、炎症を抑えて痛みを取るほか、関節軟骨の代謝にもよい働きをします。
以前使われていた副腎皮質ホルモン剤に比べ、副作用の心配がほとんどありません。
 病気が進行した場合は、整形外科的治療をします。骨の一部を切除して負担のかかる位置を変える手術をすると、
痛みが取れて、関節軟骨の組織の一部修復も期待できます。
膝関節、股関節については、人口関節に置換えるより、痛みを取るとともに、機能の回復をはかることができます。
動けなかった人が杖をついて歩けるようになるなど、大きな効果が期待できます。


いろいろな関節の病気


関節の異常や関節に痛みが出る病気は、ほかに次のようなものがあります。


[関節鼠(関節遊離体)]

関節面の骨や軟骨の一部が関節内に剥がれ落ちたもので、落ちた小片がネズミのように
チョロチョロ動くことから、関節鼠といわれます。
成長期の子供が、テニス、野球、サッカーなどのスポーツで膝や肘を酷使すると、
この病気になることがあります。
 剥がれ落ちた骨や軟骨の小片が、関節の骨と骨の間にはさまると激しく痛みます。
関節を引っ張ったり、伸ばしたりすると痛みは取れますが、繰り返すうちに関節をある角度以上に
動かすことができなくなります。
 レントゲン撮影をすると、剥がれ落ちた骨片が写るので診断できます。
関節包を切開して骨片を取り除くか、もとの位置にくっつける手術をします。


[膝内症]


膝の関節は骨、軟骨(半月版)、筋肉、靭帯、腱などが微妙なバランスを保ちながら働いています。
これらの組織のどこかが傷ついてバランスが失われ、膝の関節が痛むのが膝内症です。
 急激な方向転換を繰り返すようなスポーツが原因でなる事が多く、特定の角度に
曲げる時に痛みます。造影剤を使ってのX線撮影、関節の中を直接見る関節鏡などの検査で診断します。
軽症なら激しい運動を避け、サポーターで保護しておけば治りますが、重症の場合は手術が必要です。


[特発性骨壊死](とくはつせいこつえし)

骨の端の部分に血液が通わなくなり、壊死してしまう病気を特発性骨壊死といいます。
 原因はわかっていませんが、症状は関節痛で、手術によって骨頭の形を整えたり、
人口骨頭を使ったりして治療します。
 ほかの病気で副腎皮質ホルモン剤を使うと起こる場合があり、定説ではありませんが、
これはアレルギー反応の一種ではないかといわれています。

[リウマチ熱]

5〜15才の子供に多い病気で、発熱、関節の痛み、腹痛などが数日間続きます。
扁桃炎や咽頭炎などのA群溶連菌感染症に続いて、1〜3週間後に症状が出ます。
溶連菌に対してつくられた抗体が自分のからだを攻撃してしまう自己免疫疾患と考えられています。
ペニシリンなどの抗生物質、副腎皮質ホルモン剤、アスピリンなどで治療します。


[痛風関節炎]

痛風の一つの症状として、関節に痛みが起こるものを痛風関節炎といいます。
痛風は高カロリー食を続けたり、アルコールの飲みすぎなどが原因で、
本来、体外へ排泄されるはずの尿酸が血液中に増えてしまう病気です。
 増えた尿酸が結晶となって関節につくと、痛風関節炎を引き起こします。
手足の関節が腫れ、熱感を伴って激しく痛みます。
1〜2週間でとりあえず痛みはなくなりますが、そのままにしておくと足の親指の
つけ根の関節をはじめ、手足の関節が”こぶ”の様に腫れます。
薬物療法や食事療法などの痛風の治療をしなければいけません。


関節痛を予防する


関節は精密な構造をもっているだけに、毎日使い続けるなかでいろいろな負担がかかっています。
年をとるにつれて痛みや変形が起こりますので、日ごろからの予防を心がけてください。
 関節の老化を防ぐためには、特に40歳を過ぎたら関節に無理な負担をかけないこと、
冷やさない様にすることが大切です。
 同時に関節の柔軟性を保つためには、ストレッチなどで1日一度は全身の関節を動く範囲いっぱいまで
ゆっくり動かし、体操などで周囲の筋肉を鍛えて関節への負担を減らすようにします。
 また、肥満は関節の大敵だと自覚して、体重をコントロールしましょう。
体重が重いと、特に膝関節の負担が大きくなり、変形性膝関節症の大きな原因になります。
食事にも注意が必要で、肉やアルコールの取りすぎから痛風が起きたり、
アルコールやタバコが大腿骨の骨頭壊死に関係するともいわれています。

-病気と予防-


これからの季節は、特に温度の変化などで関節の痛みが出やすい時期。
それぞれの症状・病状にあった対処法で少しでも楽に過ごせますように。












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[2006/11/27 13:13] 整形外科治療 | TB(0) | CM(0)